間欠性斜視について(日本人会クリニックより)
2014年 05月 22日
海外生活においてきちんとしたプロ意識をもった専門家に出会えること、また情熱をもってそのお仕事に従事していらっしゃるとご一緒できるのは本当にありがたいことです。
いつも当園にコラムを書いてくださったりご指導いただいているシンガポールの日本人会クリニックの先生方も 本当によく子どもたちのことや健康について真摯に向き合っていらっしゃいます。
来月には健康診断を実施致し、こどもたち人一人一人の内診もしていただく予定です。
今回は「間欠性斜視」についてお知らせをいただきました。どうぞ一読くださいませ。
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今回は間欠性斜視についてお話します。これは斜視の中で最も頻度が多いものです。
斜視とは眼球の位置が光が正常に入ってくる方向とずれていることです。こうなると大抵、左右の眼球の位置(眼位)がそろっていないことになります。(厳密には眼位がずれていても両眼視能力を獲得していれば斜位といいます。)100人に2人くらいの割合で見られます。
間欠性斜視とは、眼位が常にずれているわけではなく、眼位がそろっている時と、そろっていない時がある場合を言います。正しい位置に保つのが難しくなると恒常性斜視になります。
眼位がずれやすいのは、何かに焦点を合わせない時です。ぼおっと遠くを見ている時などがこれに当たります。日常でこれに気がつくタイミングは、朝の起きがけや、子供が泣いた時です。泣いているときには何かを見ているわけではないので視線を合わせる努力がされず、斜視のある子は目の位置がずれることになります。また、子供が“お母さんが二人、二人”などと言ったりすることもあります。
視力はものをきちんと見ることでその能力が育ちます。左右で違うものを見ていると幼児にはものが二重に見えてしまいます。
そのため、幼児の脳はどちらかの目からの情報を無視するようになります。すると、無視された目は視力が育たない(脳が訓練されない)状態となり、弱視となってしまいます。
結果、片眼だけで見ているのと同じ状態となり、距離感がつかめないことになります。これは、運転や球技などで不利となります。弱視となってしまったら、後に、目の位置を揃える手術をして、眼位を揃えても、視力は獲得できません。弱視にならないような工夫が必要となります。
間欠性斜視であれば眼位があっている時間があるので弱視になることはまずありません。自然軽快が20%ですが、30%の人ではだんだんずれる時間帯が多くなって恒常的な斜視になってしまうと言われます。つまり間欠性でなくなってしまうわけでこれが幼児期におこれば、弱視、両眼視機能が獲得できないということも起こり得ます。
また、斜視には別のタイプもいくつかありますので、あれもしかしたら?と思われたら、まずは、近くのクリニックで相談してみましょう。